■政府は全国民に対して瓦礫処理の協力を求めるべきだ
大震災1周年を境にして瓦礫処理に向けて、ようやく野田首相も真正面から取 り上げるようになってきた。
東北3県だけで2250万トンの瓦礫の量。東京都の石 原都知事が電力使用から東京で10万トンを受け入れるとの声明を出たのを始め、 大阪、神奈川、新潟、静岡県の島田市などの首長が受け入れ表明をし、北九州市 議会では受け入れ決議をした。また埼玉県では民間会社が瓦礫焼却によって熱エ ネルギーを使用、残った灰や粉砕したガラスはセメントと一緒にしてアスファル トの材質に利用する機能を開発して、受け入れ姿勢を示している。
また野田首相は被災地での防潮林や高台の土台のための埋め立て用にも利用し たいとの意向を示している。
昨年、瓦礫処理の特別措置法が成立しているにもかかわらず、これまで全く施 行せず、ようやく今になって各自治体に文書を送付する段になったこと自体、対 応が遅いと言われても仕方があるまい。
しかし、実際には放射性物質に被爆した可能性が高い瓦礫を自分のところに埋め た場合、放射能の懸念があることから反対住民の声が大きいという。
大阪でも松井知事や橋下市長が瓦礫受け入れると表明しているが、大阪市の焼 却は全て八尾市で処理されることもあり、結局、府内の自治体が納得しなければ 実行することができない。当該自治体のゴミの焼却が他の自治体にまたがってい るだけに一筋縄ではいかない。
神奈川県知事が必死になって各自治体の住民に説得しているのもこのためである。
従って、都道府県レベルの首長が受け入れ表明をした場合でも、簡単に市町村 が納得するまでは時間がかかることとなる。一人一人が被災地のことを救いたい との思いが、こと自分達の生活を脅かす時、反対する傾向がある中で、瓦礫処理 は一人一人が許容することのできる被爆量であるならば、受け入れることが当然 なのではないかと思うのだ。
ここは日本人が同胞を思いやる民族であるのかどうか、やはり世界中が見てい ると思う。そのためには政府は自らの言葉で全国民に対して瓦礫処理に協力して ほしいとの強いメッセージが必要だと思うのだ。