■日朝政府間協議合意の表明を受けて
昨日5月29日夕方の安倍首相が日朝局長級協議の成果を発表、それまでの大方のマスコミ報道とは異なり、北が日朝間の日本人の拉致被害者、特定失踪者、戦争中の日本人遺骨、墓の調査に踏み切ることに合意したとの見解を示し、このことは拉致問題解決に向けて歴史的な出来事であると強調した。何でも北が3週間位を要して特別調査委員会を作り、調査することを通報するものだということだが、第1次安倍政権時代にも口約束をして、安倍政権が急に退陣することとなり、うやむやに終わってしまった内容である。
心配されるのは、特別調査活動がどのような代物であるかわからない中で、調査開始の段階でわが国独自の制裁措置の一部を緩和・解除しようとしていることだ。
これまで何回も約束しながら、北が強硬になったり、柔軟になって、援助を獲得しようとするものであるが、安倍政権はそのことを折り込み済みで、拉致問題解決に向けて一歩でも前進させるために、敢えて我が国からの援助を認めるという危険なケースになっても、この決断を下した点をどう見るかである。
少なくとも、これ以上、待つことはできない、我が国の本気の姿勢を北に叩きつけたと言える。北も今日米朝交渉がうまくいかず、核・ミサイルでは国際的孤立を招き、内部では金王朝転覆の動きがある中、日本の経済的見返りは喉から手が出る程、ほしい筈だ。
ここで拉致問題について再び国民的関心を高めること、そしてその解決はどうするのかを考える機会を与えて頂くことの意義は大きい。
そして私達は拉致事件が何故起こったのか、自衛隊では救出できないのかを憲法の欠陥に結びつける大きなチャンスでもある。事の推移を見守るとともに、拉致日本人を救うためにはどうするのか、憲法問題として捉えていく使命がある。