■東京都の職務規定~猪瀬都知事辞職表明
猪瀬都知事が徳洲会グループから選挙資金なのか東電病院取得の見返りなのか疑惑が晴れないまま、政治責任をとって辞職した。本人は、政策を中心に行動しも政治家として素人であったとして、未練があったであろう。ブエノスアイレスでの2020年五輪の招致のための最終プレゼンスの日が夫人の四十九日にあたっており、招致決定後にスタッフに知らせたというから、東京五輪にかける思いは家族の生死をひた隠しにしながら、胸の内は苦しさも人一倍であったであろう。そして亡くなった夫人も天界から喜んでおられるだろうと思いきや、一挙に悲しみに暮れたのではあるまいか。
猪瀬知事は、いろいろと問題のある人物であったが、東京招致に向けては「オールジャパン」で日本の伝統と歴史を如何なく評価委員に伝えることによって、石原前知事の遺産を引き継ぎ、世界の期待の目を集中させることに成功したことは確かである。その意味では都市の中での聖なる空間を認識もしていたのではなかったか。「ミカドの肖像」を同じ人物が著したとはイメージできない。
しかし辞職した人物については今となってはどんなに評論しても詮無きことであるが、いずれにせよ新たに都知事になる人に課せられている使命は重大である。投票日が来年2月9日(日)になる公算が高いが、どうしても国民の目が東京に注がれることは仕方がないことであるが、国民運動的には憲法改正のための議論がなされることが望まれる。
具体的には都市直下型震災の際の緊急事態の問題など国と都が一体となった法律の制定である。そのことは今後の大阪府知事選でも同様であり、これまで選挙の焦点になってこなかったことがおかしい程である。
さて、小生が都知事の辞職表明後、石原・維新の会共同代表が語った次の言こそ、重要であったように思われる。それは東京地検が乗り出すとかの前に、都職員の服務規程でよれば職務権限を持った者が関係する団体、業界からお金を受けとった場合に、その職を辞さなければならないということである。当たり前のようでいて、このことが猪瀬氏を辞職に追い込んだという事実は明らかなのではないか。従って、やはり政治家としてアマチュアであるかどうかの前に、都民の代表である前に公僕として自覚が希薄だったとしか言いようがない。正しい法律は、全ての人々を納得させる「言葉の力」を持っていたのではないか。猪瀬氏はどんな場でも「言葉の力」が大切であることを言っていたことを考えると皮肉でもある。