■参院選、与党大勝を受けて、国民運動の責務について考える
一昨日の参院選投開票について、少し落ち着いてきたこともあり、今の実感だ
け記したい。
ご承知の通り、自民党は改選議席の倍以上の議席を獲得、連立を組む公明の議
席と合わせて過半数に達した。一方で民主は壊滅的な惨敗を喫したが、恐らく再
起することはかなりの時間がかかるものと思われる。維新とみんなについては選
挙協力ができなくなり、反自民としての第3極の受け皿には十分にはなり得な
かった。ただ大阪だけは選挙区で維新候補がトップで当選し、全国的に維新の勢
いが留まっている感があるが、大阪では根深い支持があることを見せつけられた
思いだった。
今度の選挙では、安倍政権が強力に推進するアベノミクス政策が今のところ、
国民の実感は薄とは言え、景気が上向き傾向であることから支持されるととも
に、衆参両院の「ねじれ」を解消して「決められる政治」と国力増強を安倍政権
に求めたものであることを認識すべきであろう。少なくとも国政レベルの選挙に
ついては、与党に余程の失政がない限り、直ぐに総選挙ということはないから3
年後になると考えることが自然である。
従って、領土領海問題、憲法問題という大きな枠組みの課題の他、緊急性が迫
られている問題としてTPP、社会保障制度、原発問題、普天間問題はこの3年内
には解決しなければならない。先送りしてはならない。
一方、憲法改正について自民は文字の公約では鮮明ではなかったものの、街頭
での訴えでは自民と維新が、96条改正と9条改正を標榜することによって、改憲
勢力はどこの党であるのかが明らかとなったことは大きかった。さらに公明も
「加憲」の立場から、一歩、踏み出そうとする姿勢も伺える。野党は改憲につい
て批判的な訴えとして「米国と一緒になって暴走して戦争を引き起こす」と訴え
論陣を張ったものの、さしたる大きな論点とはならなかった。
もはやイデオロギー論争では共産、社民は問題外として成り立たなくなってい
ること、国民の関心は現実をよく見ていることも明らかとなった。
残念ながら、自民、維新、みんなの参院の議席、3分の2を獲得できなかった
ものの、今後、民主の組織的改編を求めて、野党が憲法問題を核にして離合集散
する可能性が高い中で、自民が国会内で3分の2の改憲勢力を糾合する力量こそ
が求められている。
まさに正念場を迎える国会の動きに、国民運動は下支えをするパイプ役となる
責務があるのではなかろうか。